職人とその歴史について

職人とは、英語ではcraftsmanと言い、自分が身につけた熟練技術を使って手作りで物をつくりだすことを職業とする人という定義があります。

ここで注目したいのは、職人の職業を英語では、物を作るというところに重点が置かれていることですが、私たちはこれを今では拡大解釈をして、物を作るだけではなく、無形のものを作り出すことにも職人という言葉を当てはめています。

つまり、今の時代では職人は物作りの分野だけに存在するのではなく、どのような仕事の分野にも職人は居るのです。

例えばスポーツでも職人芸を持った人はいますし、ビジネスやITの分野にも職人はいます。

さて、ここで日本における職人の歴史について見ることにしましょう。

江戸時代には、士農工商という階級制度がありましたが、その三番目に当たる工が職人の分野です。

実際には陶芸工や鍛冶工がこれに当たりますが、優れた技術を持つ職人の作品は見事な職人芸とされました。

このように、元来職人と言う言葉は主に功業に従事する人を指していて、芸術作品を作る人は、例えば陶器であれば陶芸家と呼ばれたりもします。

なお、日本では古くから多くの職業がありましたが、それが職人を生み出すようになったのは、江戸時代からと考えることができ、それまでは特にこのような言葉は使われていませんが、○○屋という言葉の屋は当時の住居番地のようなものでしたから、一つの村や部落にはいくつかの職業を生業とする職人がいて、それが○○屋と呼ばれていたとも考えられます。

ちなみに、歌舞伎役者で○○屋と声をかけられるのもこれがルーツだと考えるのは当たらずとも遠からずでしょう。